果実

私は、あの日、あの時、人生の中で初めて父に対して汚ならしい、という意識を持った。そんな自分を受け付け難くて、今こうして戸惑いめいた憂いを感じている。よりにもよって、10月だなんて、と。関連付けても仕様のない事柄に気落ちしてしまいながら。雨音が耳に触れる。空気が薄くて重い。ベッドと自分との接触感覚が乏しくて消え入りそうな気分になる。果てしなく、遠い。