2007-01-01から1年間の記事一覧

今年のわたくしにも、主張なんて大それたものは御座いませんでした。言うなればわたくしの自我というものは、崩壊の兆しさえ見せずに悼んでいったのでしょう。もうわたくしはわたくしではないのです、そう、もう僕ですらないのでしょう。散るのが善だなどと…

次元の狭間に住む動物

私のすきなあの人は、いつだってあざけた嘘を吐く。 真っさらな、白いシーツのような囀りに、真っ黒な嘘を吐いていく。あの人自身は何も汚れてなどいないのに、あの人の吐き出す嘘だけが真っ黒だ。私はいつも不思議に想う。あの人は綺麗過ぎる。今こうしてわ…

鳴咽は寂しきかな知性の澱み。

昨日のわたしを忘れても、今日の僕は金切り声をあげて生きていられる。ねえ、結局はそういうことなのでしょう。肉体の鳴咽を身体は刻みすぎてしまったの。君はいつだって寂しそうに笑うから、 夢に見る君と僕が交差して仕様がないよ。ねえ、きっと今口を開け…

未熟児

変わらないでくれ、変わらないでくれ。君だけはそう、変わらないでおくれ。 いつまでだって僕から遠ざかり、私を生かし続けておくれ。 変わらないでくれ、変わらないでくれ。君だけはそう、僕を受け入れないでおくれ。

Message from SkyMail

彼に似たあの人は、まるで私にとって病の塊だ。なんという無防備な状態でしょうね、わたしの仰ぎ見た快楽の狭間というものは。硬くやわらかになる想いの揺らぎが貴女には見え得るのかしら?正に、それこそ無謀というものでしょうけれど。ああ、かみよ! わた…

師走

ああさようなら、あああいしてる、ああさようなら、ああいつまでも、ああおやすみなさい、覚めゆく夢がつめたくても、ああおはよう、暮れゆく時が色鮮やかでも。 ねえ、好きっていって。お願い、一回だけでいいよ。それだけで、わたし、しねる。わたし、わた…

涙の価値

そんなにも簡単に揺らぎをはたらかす想いなら、僕はわたしに持つ必要なんて始めからなかった。たとえそれが始まりでなくても、わたしは僕を裏切る必要なんて始めから何処にもなかった。わたしは何処までも不埒な小娘であった。僕はそう感じ、抜け落つる豊か…

共生

卒業までの登校日があと四十幾日か、らしい。制服とももうおさらばね。ブレザーのあの肩に圧し掛かる感覚には三年、いや、六年経った今でも決して慣れやしなかったけれど、なんだかんだで制服着るのは嫌いじゃあなかった気がする。紺色のブレザー、そして紺…

悦びに咲く花

うつくしいひと ここに来て貴方の寝顔に手を伸ばす。わたしの白く綻びた腕が、貴方のやわらかな頬を撫でる。*ああ、すき、と。 言いそうになった、から、これから貴方を起こす時が心配になるかもしれない。まるで永遠のひとときのようであったよ、今日の朝…

夢惑

本日は東海大学の文化祭に行ってきました。きゃほー、林檎飴!わたあめ!クレープ!じゃがバター! 帽子の被り方がいまいちよく判らないままとりあえず電車に乗ってがたんごとん。帰りは新幹線とか少し調子乗ってみた。今年度初なトレンチコートの暖かさに感…

悪徳の栄え

そうね、サン・フォン。わたしのあいしているものというのは、決してこの悪徳の歪みだけではないのだわ。それは愛に劣らず、されど逆らわずして一定の趣きを保って。ええ、そうこれからも。

音の調べ

でも、ああ、うん、そう。わたしはきっとこのままでは生きていけやしないのだろう、と。この盲目に沈む、固く翻した頬の冒涜に、僕自身の名を刻むことなど如何して出来よう。ああ、賛美を。ああ、不実に揺らぐ道徳の欠片を。わたしの大きく高鳴るこの鼓動に…

むだいというなのだらく

ごめんなさい。でもだってわたし、でもやっぱりわたし、如何してもわたしを裏切れないのよ。わたしは僕を何よりも大事に想ってはいるけれど、わたしは何よりも僕を愛していたいと想っているけれど。けれど貴方の綺麗な指先や、貴方が奏でるひびきを、わたし…

罪悪

わたしは悶え苦しむその声に自身を重ね、同時に僕のつめたい視線を感じた。そうしてわたしの恍惚とした表情を思い浮かべると、自分でも驚くほどの大きなこうふくを感じた。 相変わらずわたしはわたしの身体に慣れることは出来ていなかったし、股を撫でる愛撫…

つめたいあせ

汚くて、生温い。そんなわたしに僕は軽いめまいを感じた。筋肉の強張りを、遠くなっていく音の鋭さを、感じた。 浚われていくのは、それはわたしのこころなんかじゃあなくて、情緒なんかじゃあなくて、僕の罪悪なんかでもなくて。ただの昏睡とした、そんな、…

浴室、熱いめまい。後に、

(ああ、今日も風はつめたく、けれど日差しは眩しくて。多くのことを忘れてしまいそうになったよ。けれどわたしはまだわたしとして在れて、僕も僕で、呆れるくらいに簡単な生き方をしていた、様に思う。月が浮かび、そして夜が更けていくように。うん、そう、…

女の情緒の醜きこと。

ことばなど、このわたしの浅ましいことばなど、この口を通ってはただ吐息に変わるだけで、わたしは凡そ幾つかと数えられる程の罪悪に見舞われながら、日々を過ごし続けている。 秋の風が僕の頬を撫で、蝉の声も今では耳を掠めることなくなったが、夏の過ぎ去…

リピート

濡れた瞳をそっとなぞるように、貴方を重ねたあの音の流れに揺らぐように。

痙攣

右頬は意識の迫害を、左頬は貴方への虜囚に囚われて。 今日もわたしの覚束ないいしきは、徐々に徐々に侵されて参ります。

わたくし、貴方の鼓動に合わせて波打つこの脈々とした吐息の漏れを、愛しく思いますの。その鼓動の生き様、その鼓動の趣。ああ、この手に余る、なんと意味を成さない言葉たちの艶やかさ!わたくし、此処で言葉を吐き捨てながら思いますの。いきている、って…

あたへられた、この妄想の暴虐さよ

唇を噛んだその時に浮かんだ、夢の矛先の翳りは、貴方の柔らかな腕を模っているようで、僕は思わず放心とした。言葉を紡ぐその唇、白色にさえ分類出来ずにいるその手のうつくしさ。繊細な、繊細な、痛みを知る貴方の指先。ただ知っている、君の瞳の奥の揺ら…

かほりだけ、かほりだけがやさしくないね。

まるで何かを埋めるように、そんな風にやさしくしてくれるな。そのような君のやさしさに触れる度に、また僕というにんげんは容易に沈みゆくのだ。そんな風に、見繕ってくれるな。僕という簡易なにんげんは、君を美化することで自分を満たし始めてしまう。あ…