黒い車

始まりの朝は何処か、誰かしら、何故だか判らないが人の顔が見れない。後ろめたいのかもしれない。もう帰ってこれないような気が何故だか無性に感じてしまうからかもしれない。何故だか、どうしてだか、何とはなしに。空の雲を見上げてああ、白いなあ、なん…

おしえて

書かなければ、筆を握らなければ、夜は明けない。そんな気がして、私はまた、今日も朝を迎えてしまつた。

Tearse in Heaven

生きていることが恥そのものの、筆とノートと人間の心だけを持った文術人間に、成れ。それだけ。

私は至上最悪な女です。考えたフリをして人に感情を押し付け、人の気持ちを考えず、聞こうとも察そうともせず、人の言葉を身に沁み込ませようともしない。劣悪な、人とも呼べない恥そのものです。生きている事を恥と感じ、人として生きる事を学びなさい。人…

慈愛

朝は一度6時半過ぎに起床し、用を足し、身体の中心がぐらついて仕様がなかったのでもう一度自室に入り込みました。眠りは浅く、夢見も特になく、肌寒い朝の、薄暗い光だけがカァテン越しに眼を掠めました。ああもう、12月も半ばなのだよなァなんて何度目だか…

白眼

私は逃げ出しました。安息で、赤子を抱くようにして私を抱いてくれた、あの母とも父とも名のつかないあの方から。あの柔らかな御籠から。身を浮かせ、ほぼ狂気にも満ちた顔で泣き叫びながら、赤子らしからぬ鳴きをしてはあの方の腹を蹴り、耳を噛み、逃げ出…

あの人の中には確実として私という傲慢な女の偶像があるのに、私の中には蜻蛉のように薄れていく貴方の偶像ばかりで、私は其れが怖くて、悲しくて、嫌で堪らなくなりました。

112

悪趣味な恋愛を酷く所望していたのだと思います。限りなく物に近い人間として、私はあの人に私を求めて欲しかったのでしょう。呼び掛ければ応え、求めれば交い合い、私の心を、身体を、涙を、女を。そうして私に思い知らせて欲しかったのでしょう。限りなく…

墨色の血

多くを得て、多くを失った日々であったように思う。万華鏡のようにキラキラと、硝子細工の紅や翠や青とが合わさって、沫やかに、模った日々であった。上手く言えぬが。私はこの手で万華鏡を分解し、赤や白や黒との硝子をを削り合わせ、そうして、 * 思い浮…

112

壊れた関係にそれでも名前が欲しいのなら、手足の捥げた玩具に名前でもつけて可愛がっていれば好い。これが私の恋人よ、愛しているわと呟いて。

15のつく日

浴びせた言葉、貧しい心、心地良いという単純な感覚。

散文多色

こころの居場所が見付かりません。酔い痴れて、今夜も眼を眩ませれば、あの曇り日の月さえ見え得るでしょうか。 * 今夜以外の月が見えなくて、私の裸足の両足がキラキラとガラスの破片を散らつかせるのを眼の端に入れて、奇麗、と掠れ切った声で言葉を口に…

眠いような、眠くないような、そんなまどろんだ悲しみ。 悲しみに正体はありませんの。私自身の存在意識が曖昧ですからに、そう、母の存在だって曖昧に感じられ過ぎます。ただ苦しいのです。悲しいよりかは苦しいと、私は思い、苦しみに限り等ないと思ってお…

子宮から血を垂れ流せば私が産まれた

精神的に障害が起こるとこうして綴る文章というものが只の羅列になって冷静の欠片だとか理性なんてものが塵のようにしか表せなくて私は私はだから文学者になんて向いていないのではないかと思う。其れは環境が悪いのか私という人間が悪いのか私とあの人との…

吐瀉7

嘘です。私の心の貧しさというものは、本当は、本当は、使い古したキッチンのシンクの様に薄汚れて、こびりついたクレンザァなんかがカスカスと模様をまっさらと残していて、もう、ああ、それは全く鮮やかでも何でもなくて、誰がどう見たってその汚れや汚さ…

記録の行方

誰にも何にも言えない`それ´を、私は引き出しの奥の奥の方にしまって、一人沸々と秘密を握ります。いつか誰か家族の者がお知りになるでしょう。けれどそのいつか、までは。封じて置きたいと想う時分に御座いますの。 だって、狡いじゃあありませんか。あれ…

不眠の影

初日位眠らせてくれ。お願い頼むよ、なあ。

あさ

大丈夫、大丈夫だからと自分の視界を半分にしたまま世界を見て、心に流れさせる。そうしてまた繰り返す。大丈夫。大丈夫な筈だ。 芸術は、裏切らない。稚拙な私は幼稚な文章を記述していく。ああ出鱈目、よ。

吐瀉5

結局、どうもこうも言ったって、面倒の臭い子供の様なもので、私は、つまり、あの人を信じてないのだ。簡単なことだ。そうだ。だからこんなにも日常常々と、悲しい。苦しい。侘しい。寂しい。

吐瀉3

恋人は今幸せらしい。幸せらしい幸せはないが、私もなんだか、幸せらしい幸せを感じている。だけれどそれを信じたり信じられなかったり感じたり感じられなかったりするのはどうしてだろう。視界がぼやけて、頭が回路を見失って、腹の鳴るその音で、あ、生き…

吐瀉4

隣の、ほんの少し遠くの場所で、へったくそはギタァが寂しく響いている。声が私の中に木霊して、ふざけた男の声が、涙になって落ちていく。此れが元恋人の声じゃあなくて本当に良かったと思う。(さようなら、は云いません。)

吐瀉2

もう、そろそろ眠い。眠い眠いと考え始めると筆に手が伸びたり、食べ物に手が伸びたり、する。意識的に生活をしたいのに意識を持つと過度に神経に作用する。ああ、如何し様。ああ、どうしよふ。衰弱していく。

吐瀉1

自分の無力さだとか他者にした罪悪だとか、そういうもの。そういうものと毎日戦っている。そのような気がする。そのような気も、する。私は毎日目で見続けても仕様のないものと毎日戦っている。泣いて、吐いて、鳴いて、泣き止んで、また、忘れる。何処か行…

腐臭

どいつもこいつも好人過ぎて、私には勿体ない。

いっそのこと精神病棟にでも入院すれば良い。そうして思い知れば良い。私なんかよりももっと気が違えてしまうような、そんな悲しみを持った人達を見て、感じて、思い知れば良い。堪える。留まる。自分で食べた物位自分で責任を取れ。取り戻す事は出来るんだ…

ユーロジン

嫌な夢によって何度も目が覚める。私は犬にさえ犯される。 多少食べ物を摘んで、身体を床に着かせる。食パン。バターの味。チョコレェトの滲む甘さ。二回起きてその都度貪るように菓子を食べて、また床に着く。味は覚えている筈もない。これが自宅だったら確…

雑多

拒食症、摂食障害の番組をみました。自分のことを見ているようでしょう、と笑いながら言った母の顔がほんの少し不快で、ほんの少し悲しく、大分のこと、何かを亡くした自分を自覚しました。こんなまずい食事は久しぶりだ、とあの人や彼が言ったあの時のよう…

お目出たい

何なのか知らん、この心地の良い強制感。絡まった、その、何と言いますか、優美、この、悦楽的な強迫感。 これが美しい愛だなんて、私からは口が裂けても言えやしません。けれどその疎ましを、私、きっと仕様のない程愛しております。きっと、心の何処か奥底…

骨の音

この人がこの音楽を聴く権利などない。ないに決まっている。それなのに、どうして。

一つの夜、一人分の温もり

もう戻らない。もう戻れない。先に進まなければいけない。例えあの人と繋いだ手が離れても。距離も形も、例え全てが変化してしまっても。それが、人間だから。