偶像

父に対して怒り憎たらしいのか、悲しいのだか、虚しいのだか、よく分からない気分に陥っております。もう呆然、愕然、その言葉が1番似つかわしいような気がしてきました。金銭の返済を求める気持ちは殆どありませんでしたが、あっけらかんとした態度で返済に対して放った父の言葉が、私の今迄の父親像を揺らがせてゆき、一体私の中の父は何処にいったのだろう、とひたすら考えております。

齢20

私はやはり父母の縁を切れないのだと思う。父さんが家を出る時、あの時の声は未だに鮮明だし、母さんの顔も夢から離れない。彼には今何人の頼り人がいるだろうか。誰もいないのかもしれない。一人はいるのかもしれない、だけれど私と同じように生きてきた彼だから、やはり周りに見渡せる程の人間は居ないだろう。そう思う。

浮遊する堕落

眠剤を飲んでからいよいよ不安が本調子に募ってきて、嫌だ、怖い、吐きたいっていつも思う。
計画性のない日々はそれだけで人間にストレスを与えるらしい。私も同じくそうだ。だから時間を無理矢理にでも埋めようとする。
けれど予定らしい予定は漠然とした恐怖感があって、なんとなく、行けたら良いな、行こうかな、程度のものでないと、眠れなかったら具合が悪くなったら、と前日か前々日に段々と不安になってくる。そうして緊張は次第と頭痛に表れるし、引き攣った笑みともなって顔に浮かび上がる。
ああ、もう少し平素に生きたい。もう少し強張りを無くしたい。安心とは一体どのような形をしているのだろう。私はそれをいつまでも胸に留めて考えている。

ギルビー兄弟のユメ。

無茶をして、それだけじゃあ足りなくて、意識さえ覚束なくなる目茶苦茶なことをやって惰性を数える日々。毎日が酒に溶けていく。毎日が夢想の優越に解かされていく。夢を見れば何かに追われる夢ばかり。嗚呼、一体何に。私はわたしに追われている。

出鱈目。

書くことでしか自分自身を許せない。書くことでしか自分自身を断ち切れない。そんなお前には生きる資格がない、とある人は言う。私には現実がない。けれど私は私自身に希望したい。だがそんな私を私は見過ごしたい。キルケゴールの死に至るやまひ。

つまらないことば

貴方の事を思うたびに昔の卑しい記憶に苛まれる。酒に酔い、人の言葉に酔い、現実から意識を離れさせる度に思う。涙に濡れたあの日の記憶、軟らかな記憶。私はこんなにも愛しい誰かを簡単に裏切れる人間だったのだろうか。
私は軽率さを恥じる。何度となく濡れるあの日の記憶よ。私は口を滑らせる言葉を恥じる。人間として生きていった証よ、今すぐに、そう消えてしまえと。いや、だからして消え得ない。私は、今此処にして生きているのだから。

せかい

自分にとって余り必要のないものを捨てて、有益ではなくリスクの多いものを吐き出して、頭から、口から、目から、鼻から、指先のほんの先っぽから、全て全てを置き去って、そうしてそのゴミ山の天辺から見つめた先に見えたのは、貴方の横顔ただそれだけでした。